検査済証とは
検査済証とは
検査済証とは、建築基準法によって定められた建築確認・中間検査・完了検査の3つが完了して、建設された建物が法律、条令の基準に適合していることが認められると、建築主に対して交付される書類です。簡単に言い換えると違法建築ではない事を証明するものです。
今回はこの検査済証について解説していきます。
交付するには
前述しましたが検査済証を得るためには建築確認・中間検査・完了検査をクリアする事が必要です。では具体的にはこの三つの工程はどのように行われるのでしょうか。
一番初めに行う建築確認は建設前に該当する建物の設計や構造、設備等の計画全般が建築基準法に適合しているかどうか確認することです。この確認は新築の際だけではなくリフォーム等においても10㎡以上の増築は建築確認が必要になります。また、準防火地域や防火地域では1㎡の増築でも必要になります。更に、建物だけではなく10㎡を超える車庫や倉庫を建設する場合も必要です。
この確認を申し込むことを建築確認申請と呼び、申請する義務があるのは建築主になります。確認を行なうのは建築主事や民間の指定検索確認機関です。
申請を行い審査に通ると確認済証が交付されます。この確認済証がないと工事が始められません。
次に中間検査です。この検査は全ての建物に義務付けられて訳ではなく、建築基準法7条の3に基づき、各自治体によって異なる基準が設けられています。施工段階に受ける検査であり、検査を通ると中間検査合格証が発行されます。
中間検査の始まりは、阪神・淡路大震災の被害によるものです。この震災では多くの建物に被害が見られ、施工の不備が原因と断定されるものがいくつもありました。こうした背景から施工段階でも検査の必要性があると認識がもたれ、中間検査制度が設けられることになります。
建築確認、中間検査を終えて建物が完成すると最後に完了検査を行います。建築確認をクリアした計画通り、実際に建築されたかどうか確認します。確認済証が交付されるように、完了検査の結果、建物が建築基準法の基準に適合していることが分かれば検査済証が交付されます。この検査済証が発行されない限り、建築確認、中間検査を通っていても違法建築とみなされてしまいます。また、その違反建築物を是正することなく使用した場合、建築主は懲役または罰金が課せられてしまいます。
建築確認・中間検査・完了検査を全てクリアして検査済証が発行され、始めて建物が建築基準法の基準に適合しているとみなされます。
検査済証がない物件と影響
ここまで読まれた方は、「違法建築になってしまうのなら現存する建物のほとんどは検査済証を持っているのではないか」と思うかもしれません。しかし、検査済証の取得率は2000年頃は40%以下、それよりも更に前は20%程度と言われています。2005年(平成17年)の耐震偽装事件を機に、取得率が急速に上昇したと言われていますが、逆に2005年よりも前であれば、検査済証がない方が多いと考えた方が良いです。建築確認後に建物の設計を変更して完了検査を受けずに利用され始めた建物が多くあることが事実です。
検査済証がない物件、すなわち違法建築には多くのデメリットがあります。
まず、簡単にはその建物が売却できなくなってしまうことです。2003年頃に国土交通省が金融機関に対して検査済証がない物件への融資を控えるように要請をしました。
こうした政策により、住宅ローンが組めなくなり、容易に売却が出来なくなっています。また、用途変更、リフォームにも検査済証が必要です。時代に合ったニーズに応えることは検査済証無しでは難しいのが現状です。
検査済証がない場合は
また、平成26年7月に国土交通省が設けた検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査のためのガイドラインに基づき、済証のない建築物についても建築基準法への適合状況を調査、報告することで検査済み証がない場合でも確認申請が必要な増築、用途変更が可能になります。
検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査のためのガイドライン
こうしたガイドラインが設けられた背景には、既存のスットクを生かす事が求められている状況下において、用途変更や増改築が難しい検査済証のない建物を救済して有効活用する大きな目的があります。
まとめ
検査済証が有無はその建物の価値に大きな影響を与えます。仮に今手元にないとしても解決策は記したようにあります。建物に持続的な価値を持たせるためにも一度確認してみましょう。